KNIGHTS 5

Knights 5 (電撃コミックス)

Knights 5 (電撃コミックス)

  • 今回の名場面

「ごめんなさい私は…戦って死にます…」(86〜87頁)
偉大すぎる愛の力(´;ω;`)


母を売り、ミストを絶望の淵へと追いやった実の父ゲオルグとの果し合いに勝利したミスト。
一方その頃“聖なる者への鉄槌”の旗振り役である鱗凰騎士団団長の王太子は、“魔女狩り”を先導する聖職者の長たる司教を討ち、“魔女狩り”との長き戦いに終止符を討った。
これにより、再び王国に平穏が訪れるかに思われたが…。

ミラオミノル渾身の初オリジナル作品、ここに完結。


上述の通り、完結巻です。
王太子のまさかの行動は、エクスクルドの国力を増強し来るべき勢力拡大のための戦争への用意。
そして再び囚われの身となるニーナ。
だがしかし、その時ミストは王都サングイネスから遥か遠きヴァリア公国に居た。


といった塩梅にまたしても危機に瀕するニーナと彼女を救うべく立ち向かうミストの構図が生まれる最終巻。
が、今回はかつてのようにニーナが目的とはなっておらず、彼らの真の目的はミスト本人。
ニーナはミストをおびき寄せ追い詰めるための餌として利用される事になります。
そしてその過程で向けられる惨たらしいまでの拷問の数々がニーナの身と心を切り裂き…という流れ。
おくびもなく自制もなしに描かれる拷問が本当に酷いとしか言いようがなく、この部分に関しては決して読んでいて気分の良いものではありませんが、何しろニーナが…ニーナが強い。
あざとい演出ではありますが、彼女の決意と愛には感動を禁じ得ない。


但し最終巻は“聖人”の扱いが軽くなっていたり、残る未登場の“聖なる者への鉄槌”(ウィルヘルム卿やゴンサール以外の人)も最後に無理矢理全員登場させた観があるなど、所々に荒が目立ちます。
(出ずじまいの者が居ても良かったと思うのですが…)
とりわけ鉄槌の人らは登場わずか3ページで全滅しており、後半は時間に追われて詰め込みがちの展開。
色々と事情や都合があるのでしょうけれど、強引に詰め込ませるくらいなら6巻まで続けても良かったように思えます。
とはいえわずか数ページながらも全てを雄弁に語るエピローグが美しく、終わり方が綺麗に出来ています。
総じて全体的にとても良い作品でした。


尚、エピローグは書き下ろしで、あとがきは実質1ページ。
その他本編も雑誌掲載時から大幅に改稿されているとのこと。
(あのエピローグがなく、改稿前でもある雑誌掲載版は結構酷い事になっていたのかも)
カバー下のおまけ漫画は相変わらず。