PandoraHearts 5

Pandora Hearts 5 (Gファンタジーコミックス)

Pandora Hearts 5 (Gファンタジーコミックス)

  • 今回の名場面

「オレ達がちゃんと見てるから…!
 だから───アリスはアリスのままでいいんだよ…!」
 (71〜73頁)


チェシャ猫の“閉ざされた空間”にさらわれたアリスを救うために後を追ったオズ。
そしてそこで自らの先祖、ジャック=ベザリウスと出逢い、助力を得る。
だが、アリスを探すうちに“サブリエの悲劇”と呼ばれる100年前の惨劇の記憶をも目の当たりにし、オズは自我を喪失し始める。
更に、100年前の記憶であるはずのその世界にはヴィンセントやギルバートまでもが居て…。



といったわけで、伏線を回収する過程でまた別の伏線(=謎)が生まれてしまって結局トータルでの謎の質量は一向に減らない気配が漂う第5巻。
出てくる事象が断片的であり、説明的に整理して話してくれる登場人物も居ないため物語としての不自然さはないのですが、その分だけややこしさを伴ってますね。
ただ、考えながら整理しながら読者が好きに解釈し想像できるというのは、ひとつのセールスポイントでもあるかも知れません。


さて、それでこの5巻での出来事ですが、やはりアリスは元々黒うさぎのチェインだったわけではなく、100年前の惨劇に居合わせた当時はただの人だったようです。
それがどういった経緯で今に至るのか、それについては今回明らかになることはありませんが、とりあえずひとつ確かなのは、今回助けに来てもらった事でアリスはもうオズにベッタリになっただろうなぁ、という事(笑)。
オズはこれでようやくあばれ馬の手綱を完全に握った事になったでしょうか。
また冗談とは別に真面目な話としても今回記憶の世界にダイブした事でアリスに関しては大分見えてきた事が多いです。
ことアリスの件に関しては謎は減ったと言って良いでしょう。


と、ここまでが前半の内容。
後半は先のジャックが一時的にオズの体を借りて表舞台に現れ*1、ある真実と彼らのすべきこと、パンドラへの指針を残すという話。
後半はこのジャックさんと、意外にもブレイクがストーリーの中心となっています。
てゆーかブレイクって意外に面倒見は良いし、ひねくれてはいるけど優しいですよね。


ちなみにカバー下のオマケ漫画でネタにまでなっている程に今回シャロンの出番がありません。
ひとコマも登場して…ないかな?
王道的な型にはまった物語になっていないので相変わらず先が読めないこの作品。
6巻も楽しみですね。

*1:この辺も何が起きてこういった事になってるのか、結構不明瞭なまま流されてます。激流に身を任せるのだ!