鬼燈の島〜ホオズキノシマ〜 1

独特の画風で固有のファンを獲得している三部けい先生の最新作。
何を隠そう俺自身がその三部ファンなのでどんなジャンルでどういった内容の作品なのかも一切知らずに買ったこの作品。
開けてみれば意外なものが…。
今回は『テスタロト』『カミヤドリ』から趣きをガラリと変え、なんとミステリーサスペンス!


というわけで、謎と恐怖が渦巻く本格的ミステリー。
一応要素的にはサスペンスもありホラーもありとなっており、帯の謳い文句も「サスペンスホラー」となっているのですが、あとがきで作者曰く意識としてはミステリだそうです。
いやしかし、これは面白くなりそうな作品を発掘できたなぁと我ながらご満悦。
完全な作者買いでしたが、1巻のインパクトでは前作『カミヤドリ』を遥かに凌駕、本当に面白い。


では、作品の概要を紹介するにあたってまずは簡単な舞台設定から。
キーワード的には「離島」「集められた子供」「嘘と真実」「隠された秘密」
とある離島にある鬼燈学園。
ここには家庭に問題のある子供たちが引き取られてくる施設であり、鈴原心と夢の兄妹もまたそんな子供の内だった。
優しい先生と4人の仲間。
だが、彼らが来る前まで子供は5人居たらしく、子供たちの大将である力也は「大人の言う事を信じるな」という。
そして他でもない居たはずの5人目は大人に殺されたのだと言うのだが…。



といった塩梅に始まる物語。
一見して一応は大人は全員敵、子供は全員味方のように見えるが、果たして本当にそうなのか。
誰の言っている事が本当で、誰の言っている事が嘘なのか。
そして次々に死を遂げていく者は誰に殺されたのか、何故殺されたのか。
また、この島に…学園に秘められた真実、大人達が隠している秘密とは。


こういった種々の謎に加え、第1話最初の数ページに物語のかなり後半の部分と思われるシーンが配置されているなど、ミステリ好きの人なら垂涎ものの雰囲気。
その他、主人公格である心と夢がわずか10歳と5歳の兄妹である事。
更には夢は盲目である(その代わりに聴力が異様に発達している)といった設定も独特の吸引力を放っています。


尚、本作のほかに他誌で2作品の連載を抱えていることもあり「刊行ペースが遅い」と自ら明言されています。
うーん、この内容とこの出来でペースが遅いってのは生殺しっすね。