わたしたちの田村くん 4

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「だって私は田村の味方だから!
たったひとりの味方だから!
本当は…こんなの死ぬほど嫌だけど、でも私は──何があっても田村の味方だから!!」
(63〜64頁)
相馬、テラ良い子…。


いまではラノベ界でもすっかり有名になった竹宮ゆゆこのデビュー小説コミカライズ、堂々完結巻。
小説2冊分を漫画で4巻に。
駆け足でもなくスローペースすぎず。
一部ストーリーのテキスト順を入れ替える工夫も功を奏しており、コミカライズとしては優秀な類だったと言えます。


というわけで、漫画版も完結を迎えました。
巻末には漫画の連載開始時に雑誌にオマケとして付いた小説未収録の書き下ろしを漫画化した短編を収録。
高浦さんちの家族計画の2話目も載っています。
先に短編の話からしますが、短編の松澤が可愛い。
本編ではほとんど見ることのできなかった彼女の一面が描かれており、松澤派の人には至高の一品かも。
内容は松澤が引っ越した先で入学した高校の同級生が主役となる青春モノで、松澤は助演の形です。


では、本編の方を。
上述した通り漫画化としてはかなり良好な感触を得られる作品でした。
これならば小説を読んだことがない人が手に取っても差し支えはないですね。
結末に関しては原作から賛否両論あった展開であり、青春小説としては良作に入るものの万人に薦められるか、と問われると難しい所。
二者択一の恋愛モノにも関わらずハッピーエンド過ぎて帰結のハッキリしない作品(=その後の展開が気になる)を好まない人には合わないかも知れません。


逆に登場人物になったつもりで「自分なら松澤/相馬を選ぶのになぁ」と思い入れを深くできる人にはお薦めです。
やきもきして居ても立ってもいられなく青春ストーリーならではの感覚を存分に楽しんで下さい。


尚、既に漫画化がされており、アニメ化の企画も進んでいる同原作者の2作品目である『とらドラ』とは若干毛色が違います。
端的に言えば、こちらはあちらに満載されているコメディ的な要素がほとんどありません。
あちらが気に入ってこちらに興味をもたれた方はその辺りをあらかじめご注意下さい。