ハンド×レッド 3

ハンド×レッド (3) (IDコミックス REXコミックス)

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  • 名場面ピックアップ

「「泣いちゃだめ」だろ…?…これで僕は君と…ずっと一緒…だ」(164頁)
うーん、あのホフマンがこんなナイスミドルに…。


前回のあらすじ
話は昔へ遡り、ジムとルカがまだ仲睦まじい友人だった頃─魔法学校時代へ。
その平穏な学園を突如素性不明の集団に襲撃される。
教員・生徒が次々と手にかけられる中、主犯格と思われるクスコーなる人物とジム達の師サンドラーが一騎討ちへともつれ込み…。



今回でこの過去編は終了。
また物語はジムを襲う100年周期の目覚めと眠りの繰り返しへと戻ります。


待望の最新刊です。
冒頭で書いたとおりに3巻のおよそ1/4 話数にして2話、ページにして30頁ほどで過去編は一旦終了。
一旦というのからも明らかなように、まだ終結してはいません。
肝心のジムとルカが契約を結び現在の関係に至るまでの描写などやり残されている点があり、全容の解明はまだ。
いずれ折を見てまた回想の形でこの辺りは描かれるのではないかと。


さて、過去編はそんなところですが、残る3/4にあたるこの巻のメインストーリーはというと…。
(1巻ラストで)意識を失ったジムが見た夢(という設定が2巻からの過去編)をルカもまたジムを通して見ていた。
ルカはその古い記憶から得たあるヒントを元に呪いを解き完全なる心臓を手にするための行動を取る。
対するジムは、その結果自身に死が訪れることよりもその巻き添えとして犠牲になる者のことを想い、これを阻止せんとする。
これまで目覚める度に限られた10日間のほとんどをルカを見つけることも出来ず、すれ違いで過ごしてきたジム。
だが、今回は目覚めたその時から眼前には確かなルカの姿。
ジムはめいいっぱい残された(かに思える)10日の間にルカを止められるのか。

といったようなもの。


この巻から過去編と同様に1話ごとの物語の境目がなくなり、ストーリーが長編入りしています。
上述のエピソードもこの3巻だけでは完結せず、4巻へと持ち越し。
1巻で見られた2話で1エピソード、次はまた100年後という毎回読み切り漫画を読んでいるかのような斬新な展開は一旦影を潜めるようで(もしくはこれっきり?)、少し残念な気も…。


ちなみにあとがきには必ず目を通しておいた方が良いかと。
1巻と3巻で描かれる現代編ですが、あとがきで原作者の倉田さん曰く「舞台の時系列をランダムに拾っているので一番新しい“現代”ではない」とのこと。
つまるところ、現代での物語は話数順に進行しているのではなく、1巻よりも3巻の話の方が過去である可能性もあるわけです。
だとすれば1巻で「こいつもついてきてくれるみたいだ」と言っていたロゴからもらった刀をその後のジムが持っていないなど、確かにおかしいと思っていた点にも納得。
いまのところ1話が時系列では実は一番最新なのだと考えれば矛盾もありません。

目覚めた時期が何年なのかを示さず、あえてそのエピソードが時系列のどの点に位置するのか明確にしない。
面倒な構成だという見方もできますが、どの物語がどの位置にあるのかタイムラインを自分で考える余地があって面白い。
いつかロゴの刀をもったジムが復活する時が来るかも知れないという楽しみもあります。


尚、サンドラー先生好きの人(まあ、自分のことですが)は巻末のおまけ漫画必見です!
巻末には恒例の設定資料も併載されています。
それから内容とは関係ありませんが、3巻の表紙は凄く良いですね。
赤、青ときて今度は緑。
ピンクと緑の色づかいで描かれるのは今までのようなジムでもルカでもなく、トリシェとグレースの姉妹。
暖かみと柔らかさが好感触。
3巻の表紙買いから入る人も少しくらい掴まえていそう。