かんなぎ 5
- 作者: 武梨えり
- 出版社/メーカー: 一迅社
- 発売日: 2008/08/09
- メディア: コミック
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「俺や母親や周囲の人間のために立派になるんじゃねーぞ。
お前はお前のために立派になるんだ。
俺に魂を食われたらもう転生はできない。
成功しようが失敗しようがこれが正真正銘「お前」の最後の人生なんだぜ。
死を恐れろ!
見慣れないことがあっても思考停止するな!考えろ!
他人に勝手な期待をかけて絶望するな!
お前が子供なら相手だって子供なんだ。
想像しろ!あいつらはなぜあんなに怒ったんだ?」(168頁)
これは善い悪魔。
美術部の修学旅行先の土地神に見咎められたナギとざんげ。
おまえは何者かと問い詰められるも、ナギ本人も自身の事が分からない現状。
しかしそれを聞いた彼らはひとつの確証を得たらしくナギの正体を指摘するのだが…。
アニメ放送間近のかんなぎ、待望の最新刊。
ナギの“神格”についての追求が予感される引きの強いラストをした前回の続きがようやく読めます。
ネタバレになりますのでナギが何と言われたかは明かせませんが、予想に反して今回の事でナギの正体が判明することはありませんでした。
(むしろ余計にわからなくなったかも)
ありませんでしたが、ナギ自身の心の持ちようには変化があったのではないかな、と。
「ナギは一体何者か」に関してはストーリーの根幹でもあるためそうそう簡単に答えは出ないようですね。
ちなみに外見・口調・性格etcすべてが清々しいまでにあからさまに狙ってるキャラだった土地神のみゅうですが、実は…。
アッーーー!
まあ、俺はあんな餌には釣られませんでしたが、もし前巻で「みゅう可愛い」だとか思った人が居たならば、色々な意味でご愁傷様です。
さて、実はこの合宿編は1話で終わるため5巻のメインは別のエピソードになります。
(だったらこの話を4巻に収録して丁度キリ良くすれば良いのに…と思うわけですが、出版業界は諸般の事情で面倒ですね)
巻末の読み切りを除いた全体の半分は白亜の過去編。
このエピソードはこれまでの流れとは一線を画し、文字通り“神妙”な雰囲気のお話。
ざんげが体に憑依し、日常の行動と意思の表出のほとんどを彼女に委ね、白亜が奥に潜む事になるまでの成行が描かれています。
白亜の父は娘の体を乗っ取られたかのように言いますが、その実そうでもないという事の真相を知ることができます。
普段はコミカルで時々シリアスを差し込む武梨さんの本領発揮が見られる好展開です。
この2つの話の後は1話だけのショートエピソード─秋葉の同人誌製作の手伝いと浴衣で夏祭り─がふたつと過去の読み切り作品を収録。
今回はキリ良く終わり、6巻から新展開が始まるような感じです。
尚、今回の読み切り作品は以前に収録されたものとは違いこちらも極めてシリアス。
白亜の物語のプロトタイプとも取れる感動ストーリーになっています。オススメです。