ベン・トー 3

ベン・トー 3 国産うなぎ弁当300円 (スーパーダッシュ文庫)

ベン・トー 3 国産うなぎ弁当300円 (スーパーダッシュ文庫)

  • 今回の名場面

そして、扉の閉まる音が、死刑執行のベルのごとく鳴り響いた時・・・・・・風が吹いた。
髪が揺れ、服が揺れ、頬を・・・・・・温かな風が撫で、そして鼓膜が震えた。
ドンッという衝撃のような音で。
「姉さん!」
梗は妹の声に、瞼を開く。
「・・・・・・え?」
梗は見る。目前に広がる、夢の続きを──。
(265〜266頁)


お弁当は冷めますが、ベン・トーは冷めない。
著者初のシリーズ化もトントン拍子に3巻まで来ましたが、冷めない・褪せない・飽きない。
所詮キワモノ、と一笑に付すことを許さない芯の通った物語が此度も君の腹を満たす!


とまあのっけからテンション高いですが、今回は・・・今回も力作なんで仕方ないんです。
熱いアツいめっちゃ熱い。
これこそ感動的大団円の見本と言って過言でないフィナーレが最高です。
半額弁当の奪い合いの中にこんな感動があるなんておかしいよ、絶対(良い意味で)。
まずい、泣きそう・・・。


というわけで、前回に引き続きというか1巻から通じてのことですが熱血展開てんこもりの第3巻。
順番が前後していますが、ここであらすじ。
今回戦場に現るは、凄腕の双子の姉妹。
新参者であるにも関わらず明らかにビギナーではない力を見せる彼女たち。
そして発せられる異様な言葉とおかしな行動。
実は二人はかつて違う街で力を揮っていた際に深い傷を負い、心に闇を抱えた手負いの狼で・・・。
人々が笑顔で訪れ幸せを享受する場──スーパーマーケット
そこに悲しい涙は似合わない。
これは、魂と心の救済劇!



概要はそんな感じとなりまして、物語の中心となるのはその双子ということになります。
また、前回の中心人物の一人であった二階堂は今回もなかなかの活躍ぶり。
前回かなり背景化していた先輩も今回は見せ場が多いです、ある意味(かっこいい先輩が珍しくかわいいなど)。
逆に著莪は今回ちょっとお休み、色々な意味で。
そして洋は相変わらず普段の弁当奪取率は低いのにここぞという時に凄い。
著者のギャグセンスも相変わらず凄い。
副菜のギャグだけでも十分なのに主菜のボリュームも満点で大満足の一品。


これまで見られなかった仙が動揺する様子など素の顔が見られたのも個人的に嬉しい要素。
シリーズなれど後に引き継がず1冊1冊が完結しているのも良いですね。
次も新キャラか、それとも金城と仙の過去か・・・。
楽しみ。


ちなみに余談ですが、今回若干誤字脱字が多いです。
まだ知らないキーワードを洋が既に思考にふける際に既に知ってるかのように使っていたりと若干整合性が取れていないミスもあったりなかったり・・・。
ハードスケジュールで刊行されたんでしょうか。