とある魔術の禁書目録 4

3巻より引き続いてのレディオノイズ編が終結となる第4巻。
主題にもなっているインデックスのお休みは今回まで続き、美琴と御坂妹の救済劇が繰り広げられる。
上条さんは今回も大活躍し、清々しいまでの漢っぷりを発揮する格好良さ。
言動が青臭いのはご愛嬌。


というわけで原作3巻に該当するエピソードが完結。
違う媒体でのメディアミックスとの比較はあまりすべきでないとは思いつつも、放送がつい先日だったこともあり比べてしまうのが人の性。
そして思うのは、アニメより漫画の方がいいなぁ、という・・・。
(以下、本論から外れるので小枠扱い)


 元来アニメは動きを自由に作れるのでアクションに向いてます。
が、アニメの禁書はアクションシーンの作り方が良くなく、当麻と一方通行の格闘描写においても漫画に軍配。
 逆に一人の人が全部を描くわけじゃないので表情のバリエーションは乏しい。
4人の人物が様々な表情を見せる(特に複雑な心境にある美琴の微妙な機微)このエピソードにおいては漫画の方が表現に向いている。
 そして科白は声になることで臨場感を伴ってより良いものになるのが常ですが、如何せん禁書は説明やこっ恥ずかしい科白が多いです。
それが声にまでなると、リアリティがつきすぎて俗に言う厨臭さが際立ってしまって良くない。
吹き出しの中に文字としてあるくらいが丁度良い。
とまあそんなわけで、両方見ている人には関係のないことですが、原作以外で気軽に禁書の世界に触れたいと考えている場合には漫画をお奨め。



という話はさておき、4巻の話。
原作3巻に該当するエピソードが完結。
最初のステイルとの戦いでは知略(というほどのものではないけれど)も発揮した当麻。
けれど今回は無骨に右腕を振り回し、ただがむしゃらに突っ込んでいくだけ。
あまりスマートではない。
(1巻を読んだ当初、右腕を振り回すしか能のないやつが工夫を凝らして力のある者を打破するのが面白い!と感じた者としてはちょっと物足りない。)
しかし美琴の痛切な願いにより最後の最後に意識を取り戻した御坂妹の助力がなり、美琴→御坂妹→当麻とバトンが渡って掴み取った「当麻の、ではない三人の勝利」であるこのエピソードの決着はなかなかに感動的。


また、連載初期から新人としては良いものを見せていた作画も未だ進歩している印象が強い。

  • 決死の当麻
  • 悲痛な面持ちの美琴-
  • キマっちゃってる一方通行
  • 余裕の表情しか見せなかった彼が見せる狼狽の様子
  • そして無表情の中に些細な感情を表出させる御坂妹

などなど、様々な表情が口ほどに語る表現力が良い。
やはり漫画は読むものというよりも見るもの。作画あっての物種。
外伝である超電磁砲共々、競い合うように伸びていって欲しい作品ですね。


尚、今回は巻末のおまけ漫画はなし。うーん、ちょっと寂しい。


余談。
穿った見方をすると、アニメの放送が終わって久しい4月では扱いの変わる書店もあり、売り上げにしっかりと響く。
何とか3月のガンガンコミックス発売日に滑り込ませるために詰め込みのスケジュールだったからあとがきやおまけ漫画を差し込む余裕がなかった、とも考えられる?
事実、1巻07年12月→08年7月→08年12月→4巻09年3月となっていて、今回だけ厳しすぎる。