ゼロイン 9

ゼロイン9 (角川コミックス ドラゴンJr. 33-18)

ゼロイン9 (角川コミックス ドラゴンJr. 33-18)

  • 今回の名場面

「この温もりを知ってる限りみくるさんは鬼でも殺し屋でもありません。」
「忘れそうになったって、いつだって手を握りますから。」
(31〜32頁)
コウかっこいいよコウ。


前巻の終盤に起きたデパート襲撃事件。
9巻はこれをきっかけに様々な事態が動き始め、起承転結でいうなれば承にあたる内容。
中でもメインは事件の制圧任務の際に敗北を喫し、また、あれだけ出来なかった“急所撃ち”をしたみくるの過去とこれからへの決意を描くエピソード。


というわけで、7〜8巻と短編が続いたゼロイン久しぶりの長編です。
今回は上記ストーリーにて、父を失ってからのみくるがどのように生きてきて、どうして今のような危ういバランスの強さを手にしたかが描かれます。
同時に何故急所を撃てなくなったのか、その真相も明らかに。
そして明らかになった事実からみくるが「殺さず」を乗り越えるその過程でついに・・・。
ああああ、ついに!ついにみくるがコウとカップルに!
大分以前からもうどう見てもコウの片思いではなくなっているにも関わらず進展のない二人でした。
それだけに物語の半ばでこうした形を向えるとは思っていなかったので、意外という印象が強い展開です。
そしてコウとみくるが通じ合うと必然的に「ののの失恋をどうするのか」という問題が起きますが、そこも有耶無耶にしたりだらだらと引き延ばさず、良い形で決着がつけられています。


と、この辺りの一連の話がこの巻最大の見所。
その他に関してはひとつひとつを取り上げると長くなるので、箇条書きでざっと列挙してみます。

  • 襲撃事件で亡くなった人質4人が民警の銃器が死因であることが明るみに。これが世間を騒がし、学生が隊員に居ることもまた騒動を呼び、上層部でも不穏な動きを呼ぶ。
  • これに関連して、コウの兄──学がいよいよ物語の前面に出始める兆しが現れる。
  • また、出向という形で警視庁から来ている式江*1と学につながりがあるらしく・・・。
  • そしてとうとう学園そのものに事件の火種が飛び火する!

とまあこのような所。
最後のひとつが次なる10巻へ引き継がれる形でまた結構な切られ方で終わっています。
が、一応この巻は諸事情で出版が遅れた*2ということもあり、収録エピソードは昨年の12月号まで。
既に5月号が出ている今ですので、10巻は特に何もなければさほど間をおかずに刊行されそう。


尚、前巻でチラっと再登場を匂わせていたカエル姉妹は残念ながら登場せず。

*1:結構忘れがちな設定

*2:裏表紙の折り返しにて作者談