創立!?三ツ星生徒会 2

創立!? 三ツ星生徒会2 それから恋3は加速した (ファミ通文庫)

創立!? 三ツ星生徒会2 それから恋3は加速した (ファミ通文庫)

奇妙な金魚神水穂さまに煽られて新設校の校内ムード向上に奔走する恵。
生徒会運営の第一歩を乗り切るが、水穂が憑依し別人状態となった自分に生徒会のトップ2からまさかの告白。
三角四角関係の恋愛模様が描かれる多重ラブコメ第2巻。


今回は良い点と悪い点がはっきり現れており、今後の指針とするのに適した良い巻だと思います。
興味を惹かれたけどまだ読んでいない人はとりあえずこの2巻まで読んでみましょう。


以下、今回は例外的にあらすじの中でもネタバレに該当するような展開にまで言及しつつ上述の良い点・悪い点について。
まずストーリー展開にはあまり関係ない悪い点から。
一人称主体の地の文が若干気に障るようになってきました。
常ならば一人称であろうと三人称であろうとさして気にならず何でもウェルカムな僕でも気になるので、この辺りは合わない人にはとことん合わない要素となりそう。
物語の展開も細々したところに強引さというか稚拙さがあります。


逆に良い点(ここから2巻のネタバレ的な要素を含みます)

  • いち、主人公がモテない。

とりあえず主人公がモテる所から多重関係に発展するのが半ば決まりのようなライトノベルのラブコメにおいてこの要素は好印象。
モテてるのは別の人であり、主人公は横恋慕するのみという立ち位置は面白いです。

  • に、みんなウジウジ想いを溜め込まない

ヒロインが気後れしてなかなか想いを意中の人に伝えられなさそう・・・という典型的なタイプなんですが、意外にも内に秘めて想いを温めておく、なんていう言い訳せずに真っ向ぶつかっていきます。
意外性もあってかなり清々しい人です。

  • さん、怒涛の展開

それに感化されたのか、主人公も2巻目にしてラブコメ最大イベントの告白を敢行。
ヒロインがウジウジなら主人公も主人公でやたらに鈍感だったりうだうだしたりと優柔不断で全然態度も意思もハッキリさせないじれったい作品が多い中、電光石火の速さでの告白もやはり意外の一言。
こんな早々カミングアウトして玉砕失恋するとは思いもよらなかったです。
主人公とヒロイン、わずか2巻で早くも二本柱が告白を終えて失恋済みってどんなラブコメ(笑)。
面白いです。

  • よん、二人は適度に自分勝手

適わない恋をする主人公とヒロインが主役の本作ですが、「他人を貶めたりないがしろにしてでもやっぱり自分の恋優先」という未熟で恋する者にあるべき愚かさを見せてくれます。
がきんちょのくせに妙に人格出来てて変に悟っていない事がかえって好感の持てる要素。
無論そういった思考に至った自分や気づかないうちにそうした行動を取ってしまった事を悔いて自己嫌悪にも陥ります。
きちんと失敗や後悔をして反省する姿勢が描かれていて良い。


とまあそういった塩梅でして、大筋ではかなり良い物語になっていつつも要所要所でちょっと気になる所があって惜しい作品といった感じ。
個人的にはマイナスを打ち消してお釣りがくるだけの魅力があるので3巻も買いです。