お嬢様と妖怪執事

『dear』で知られる藤原さん初の短編集。
表題作を含む4本が収録されており、バラエティーも豊か。
B6版ではなく、新書版なので手に取りやすい価格設定。


というわけで新連載も始まった藤原ここあさんの短編集です。
なかでも表題作は一部要素が新連載のモデルにもなっているので、トライアルとしても丁度良い?

  • お嬢様と妖怪執事

病弱ながらもそれに甘えることなく何事も自分でやろうと努力するお嬢様と、その名家に長く憑いている座敷童の話。
イケメンと少女の取り合わせというのがいかにもここあさんらしいというか何というか(笑)。
何となく『dear』の小桃と昴を彷彿とさせられます。
座敷童の性格は昴とは全然違うんですけどね。

  • 山田

ちょ、BL!?という雰囲気も漂わせつつのコテコテのギャグ作品。
頭ひとつ飛びぬけた、というかネジが飛んだ感覚があり、好きな人にはこれが一番ウケそうな感じの異色作です。
『dear』終了後に描かれた作品でもあります。

  • ストレイドール

少女とイケメンの取り合わせは同じですが、イケメンが主人公の作品。
捨てられたりなどして持ち主のいなくなった人形を引き取り、操ることで物事を解決して回る人形使いの話。
こちらは表題作と山田の中間辺りといった風情で、ギャグもそこそこあります。
作者自身記憶にないほどの古い作品だそうです。

  • 私は

これも連載後の作品。
珍しく一切のギャグなしに描かれるシリアスストーリー。
主人公は一人の女子高生ですが、美男子の登場もなく、特有の雰囲気があります。
物語は女の子としては珍しくもあり、また「周囲から浮く」こともある「写真が好き」な子の悩みを描くものになっています。
担当編集さん一押しの作品(笑)。


以上4作が収録されています。
どれも40頁に満たない短編ですのですぐに読めます。
冒頭書いたようにお値段お手頃なので、ここあさん好きの人は元より『dear』を知らない人がまずどんな作風の人なのか探るために試し読みするのにも向いているかも知れませんね。