狼と香辛料Ⅱ 第十幕「狼と孤独な微笑み」


「アンタのツレを売らないか」
エーブがそう話を持ち出してきたのは、五十人会議で下された決定が「毛皮の取引は現金に限定する」というものであったからだという。
この話が本当であるならば、確かに相当の儲けを期待できる。
だが、いくら何でもホロを質に入れるなどと・・・。
悩むロレンスだが、話を聞いたホロの反応は意外なものだった。

いよいよ悪巧み開始の第10話。


さて、今週を含め残り3話という時点でようやく商売の話に入ったこのエピソード。
まずは状況を整理してみます。

  • 今年の毛皮の売買は現金決済のみ
  • 需要が多ければ高く売れるのが道理
  • 大量に仕入れ、需要のある街へいち早く売りにいけば儲けはより多くなる
  • そもそも早く買わないと毛皮が売り切れる
  • しかしエーブもロレンスも大量の現金は手元にない
  • そこで手元にあるもので高く売れるものを質に入れ、金を借りる
  • 即ち、外見上は申し分ないホロを担保とする(耳と尻尾のことはエーブは知らない)
  • 更に没落したとはいえ貴族であるエーブのツテを使ってホロを「貴族の娘」と偽り、より商品価値を上げた上で質入れする
  • その見返りとして、ロレンスにはアロルドの宿が譲渡される
  • 尚、ここでエーブが言っていたフルネームは「フルール・フォン・イーターゼンテル・ボラン」科白だと判り難いかと思ったので補足

これが今回の商売の流れ。
現金さえ用意できれば簡単確実に儲かり、儲けた金で借金を返せばホロも戻ってくるという単純な話です。


ただ、仕組みは単純でも一時的にせよホロを売るとなればそう単純な物事ではない、というのがロレンスの考え。
これは当然の考えですね。
お金が欲しいからお前を質に入れる。
大丈夫、必ず成功するし、そうすれば何も問題はないから。なんて言って「うん、いいよ」と言ってくれる相手がどこに居るのかって話です。
が、意外にもホロはこれにそれでいいじゃないか、と言ってきたというのが今週の展開。
曰く、「出会った頃に比べて慎重になりすぎ」だとか「信頼してるから」とのこと。
とまあ、確かによほどロレンスを信じてるんだろうなぁ、と考えれば美しい話ですが、結局のところいざとなれば狼化して逃げることができるホロだからこそ言える事。
視聴者的にはチートをバックに強気になってノロけられたようなもんです。
もうアンタらの信頼の厚さを見せつけられるのはおなか一杯です(笑)。


ちなみにこの商売はエーブの話が本当であること。
そして彼女が裏切らないことが成功に不可欠な条件です。
とりあえず前者に関しては例の酒場の娘さんや物乞いから情報収集をして裏を取り、ほぼ間違いないと確信を得たロレンスですけど、後者に関しては未知数。
というか過去の展開を鑑みるに、失敗せずにすんなり事が運ぶ方が想像できないと思います。
今回もこの先は、失敗したあとにどう盛り返すのかを楽しみにしてみて下さい。
残り2話なので駆け足気味になる懸念が若干ありますけど。


それにしても今週のロレンスは女性から色々な感情のこもった視線を向けられることが多すぎだ。
羨ましいんだか気の毒なんだか・・・。