狼と香辛料 第十二幕「狼ととめどなき涙」


職人達が武装蜂起?
急展開を向えた前回を引き継いでのレノス編完結回。
と同時に、二期最終回ともなる第12話。


え、これで最後?13話ってないの?
とそう思った人も少なくなさそうなこの話。
「二期は5巻までをアニメ化」と判った時点で原作読者はこうなることが判っていたわけですが、本当に原作そのままを再現してくるとは・・・。
これはやはり三期前提で作られているのかな。


さておき、正直アニメだけでどれほどの人が詳細を把握できたのか怪しいレノス編。
今回は感想よりもまとめ的な解説をしようと思います。

  • 武装蜂起をしたのは主に町の職人たち

職人は毛皮を加工し、完成品を売って生計を立てている。
北の大遠征がないので、例年に比べれば作ったところで売れる数はたかが知れているかも知れない。
が、外地の商人に毛皮を売られ、それを外に持っていかれては少ない以前に収入はゼロになる。
故に、力に訴えてまで決定を取り下げるよう行動を起こした。

  • ロレンスは今回の件では損得勘定は±0

ホロを質に入れて借りた金は奪われた。−金貨60枚
しかしそれとほぼ同じ価値がある宿の権利書は手に入れた。+金貨60枚
権利書を渡せば債務はなくなり、ホロが返ってくる。
骨折り損のくたびれ儲けになったくらいのもの。

  • ではホロと宿がほぼ同価値なら何故エーブはロレンスを引き込んだのか

宿に金貨60枚の価値があるなら初めから宿を手放して一人でやれば良かったのではないか。
これは当然の疑問。
ロレンスと組んだ理由は作中でも言われていたように主に「教会への盾」としての役割を期待して。
エーブとは違い、ついこの間この町に来たような正体不明の商人が彼女と手を組んでいるとなると、教会としても単独でいるエーブよりは相手がしにくくなる、という考え。
まあ、要するに一人でやるのは怖いから誰か頼りになりそうな相方を・・・という考えに等しいと思っても良い。

  • 権利書を置いていったのは何故

商人としてそうしなければならなかったから。
意味がわからないと思いますが、あそこで権利書も金貨も持って逃げると完全に強盗です。
ロレンスが事の顛末をあちこちで吹聴すればエーブの商人生命は終わり。
しかし金貨を返してもらえれば、ロレンスは取引から降りて金を返してホロを取り戻せば済む。
金(=ホロ)さえ返ってくれば、殴られたことを除き、結局ロレンスとしては最初から何もしなかった・何もなかったのと同じこと。
経過はどうあれ、結果としては表向き「もういいよ、俺一人でやるから」というただのコンビ解消の形が残る。
そうなるとロレンスが何かを言ったところで、第三者からすれば「でも契約はきちんと履行されてあんたには何の損もなかったんだろ?」となるだけ。
それでも多少エーブの評判は悪くなるかも知れないが、むしろそんなことを触れ回ってるロレンスの方が信用を失うかも知れない。

  • でも残していったのは金貨じゃなくて宿の権利書だが?

そこはエーブ側の都合によるところ。
金貨を返して契約リセットといきたいが、毛皮の買い付けは現金でやりたい。
なので、金貨60枚とほぼ同価値の権利書を残した。

  • 逆にロレンスは何故取引から降りようとしたのか

エーブのやろうとしていることがあまりにも危険だから。
教会という巨大な勢力がやろうとしている毛皮取引を隙をついて金を集めて先にやってしまおうというのだから伴うリスクはまさに命懸け。
現代にたとえるならその筋の人の元でやっていた麻薬取引の仲介を自分で直接やってしまい、マージンを払わずに儲けを独占してしまおう、とかそんなところ。
ロレンスはそこまでして儲けようとは考えなかった。
エーブはそうじゃなかった。
命懸けでとにかく金をより多く、金貨1枚でも多く儲けたかった。
だから決裂した。


とまあ、こんなところでしょうか。
若干整合性に疑問が残る点もなくはないわけですが、一応それなりに筋が通るように話が作られています。


そんなこんなで最終回でした。
そういえば一期も最後は鐘が鳴り響くシーンで終わっていたでしょうか。
にくい演出ですね。
しかしラストがあれだと三期が必要になりますが、お世辞にも二期は一期と比べて面白かったとは言えず、正直微妙な出来。
最後がああでもなければもう三期とかいいわ、という水準なのですが、どうなるんすかね、このアニメ。