ストーム・ブリング・ワールド 2

切り落とされたリェロンの首。
言葉を失い、失意に落ちるアーティミス。
だが、リェロンが居なくなったことにより街を取り巻く危機は更に深刻さを増し、騎士団は勢いづくばかり。
このまま挫折し、なすがままになるわけにはいかない。
そんな折、リェロンが遺した黒猫が不意に言葉を発し・・・。

新装版ストブリ、完結巻となる第2巻。


旧版を読んだことがなかったので、待ちに待った2巻です。
この2巻をもって完結となる長くはない物語ですが、とてもよく出来ていました。
完成度が高く、もっと続きを読みたいのに!と思わせる作品。


そして何より、古き良き「剣と魔法のファンタジー」を思わせるような純粋さを持ったファンタジー世界が秀逸です。
世界観の奇抜さや妙な個性付けをされたキャラクターではなく、人と人がどう関わり、何をなすか。
きちんとした物語を読む事ができました。
とかくこの所懐古主義的になっているせいか、昨今のファンタジー小説が忘れがちになってきているものがこの作品にはあったように思えてなりません。
(実際に旧版は02年に書かれ、世に出された作品なだけに)


というわけで、大変満足いく一冊でした。
ボーイミーツガールものとしても面白いですね。
それだけにあの顔ぶれが紡ぐ今後の物語を見たいわけですが、加筆修正の元に旧版を出し直して終了。
いまになって続きが書かれることはやはりないようです。


尚、余談ですが新装版あとがきの方にて昨今のメディアミックスの風潮に対する危惧をはらんだ至言を残されています。
ああ、もう本当にその通りだな、と頷かざるを得ません。