ヒのカグツチ 1

ヒのカグツチ 1 (電撃コミックス)

ヒのカグツチ 1 (電撃コミックス)

前々から興味のあった一作。
2巻も発売されたのを機に、ようやく買って読んでみました。
これがなかなか面白い。
当初は2冊同時にレビューすればいいかな、と考えていましたが、折角なので1冊ずつにしようとも思います。
尚、まだ2巻は読んでいません。


さて、久しぶりに良い新作に巡りあえました。
古事記をモデルにした現代が舞台のおとぎ話です。
悪しき神となってしまった荒神を封じ、人に害をなさぬよう務める定めをもつ高天一族。
その一族の者として生まれた者は、現神(現人神のようなもの)となり、人として生きながらも荒神に対処せねばならない。
そうして数々の現神が何代にも渡り責務を果たしてきた、というのが物語の前身。


こうした舞台背景の下、行方不明の兄を探して旅をする少年が、立ち寄った神社で現神と荒神の戦いに遭遇し、自身も高天一族としての力を覚醒。
しかも他の現神がもたぬ唯一無二の力を持ち、長きに渡り顕現が待望された神、カグツチとしての力があり・・・というお話です。
尚、ここでいう特別な力とは、荒神を元の善良なる八百万の神へと還す力。
カグツチは他の現神が、封印といういわばその場しのぎしか出来ないのに比して、根本的な解決を図れる唯一の存在なのだとか。
まあ、この辺りの「主人公=特別な存在」というのはお約束なのですが、特別が故に伴う苦しみなどの重荷を背負わせることも忘れていない設定が好印象。


そのほか、登場人物も人間味があり、魅力的。
ヒロインは今ではすっかり見慣れた無感情タイプのキャラですが、故あっての性格設定であり、ツンもなければデレもなく比較的純粋な個性付けがされています。
作品としても絵の見た目や奇抜なキャラクターで釣るタイプではなく、物語で読ませるタイプです。
久しくそういった新作を発掘できていなかったので、これは楽しみな作品になりそうです。


ただ、作画に関しては原画・イラスト畑出身で漫画はまったくの素人だったということもあり、やや癖や難があります。
絵柄も若干少女漫画的。
表紙など一枚絵ではかなり高クオリティが見られますが、動きがあり、短期間に量をこなさないといけない本編中の絵とは大分違います。
表紙と中身のギャップはあらかじめある程度念頭に置いておいた方が良いかも。