[漫画] 咲−Saki− 7

咲 Saki (7) (ヤングガンガンコミックス)

咲 Saki (7) (ヤングガンガンコミックス)

長きに渡った大将戦もいよいよ最後の最後となる後半戦南4局。
劇的な展開から優勝を掴み取ったのは、清澄高校・宮永咲
逆に圧倒的な点差からの逆転を許した龍門淵高校・天江衣。
しかし、彼女にとってこの敗戦は決して後ろ向きなものではなく、むしろ新たな一歩を前へ踏み出すための契機となって・・・。

大将戦の決着から全国大会へ望む清澄を強化するための合同合宿までを描く第7巻。


およそ半年ぶりとなる新刊は、先に同様の展開を消化したアニメと基本的には同じ内容でありながら枝葉の部分で異なる趣を魅せています。
アニメを見ていない人にとってはいつも通りですが、見た人からすればやはり小林さんの描く漫画としての咲−Saki−らしさが改めて感じられ、非常に満足度の高い巻になっているのではないでしょうか。

なんやかんや言っても透華に対し「使えない子状態」とぼそりと皮肉を言ってしまう智紀が居たりするなど、アニメはやはり少し違和感があるわけで。

また、終局直後の展開が若干アニメとは異なっており、後日談も含め「衣」に視点を当てて見た場合、漫画はより優しい心温まる展開になっています。
イイハナシダナー(´;ω;`)
自らが生んだ衣というキャラクターへの作者の愛が感じられて良いですね。
(その反面、咲や和の清澄一向は試合以降では一時的に脇役な状態)


ちなみに、アニメでは県予選団体戦の後にプール・個人戦・夏祭りという展開を挟みましたが、原作では敗者側の龍門淵の後日談を拾うエピソードをフォローし、すぐに合同合宿へと入っています。
そしてその合宿では、残念ながらどうすごいのかといった詳細は不明であるものの普段の打ち筋とは一線を画し、咲や衣すらも凌駕する透華の隠れた一面が垣間見えるといった展開が・・・。
決勝ではほぼ良いとこなしで噛ませ犬扱いとなってしまっていた彼女だけに、多少は前年度覇者としての貫禄を示せた感じでしょうか。
その他では、他県の代表校の顔ぶれや本編初登場となる和の後輩・マホなど今後の展開を左右する要素を盛り込み、次巻へと続いています。


尚、巻末には龍門淵同様に敗戦後の鶴賀にスポットを当てたエピソードが番外編として収録されています。
こちらもやはりほっこりできる和やかな雰囲気が好感触。


余談。
衣のツモ切り一筒(イーピン)の大明槓からの連槓で最後は五筒(ウーピン)の嶺上開花和了り、逆転を果たした咲ですが、ここが結構ミソです。
今の麻雀ではもう採用されていない古役でのことですが、一筒は月を象徴するとして海底撈月の代表牌、五筒は花を象徴するとして嶺上開花の代表牌という扱いだったことがあります。
こういった経緯を踏まえた上であの展開を描いてくる辺り、こんな超常麻雀
でありながらも麻雀に対する作者のこだわりが見受けられ、とても面白いです。