ベン・トー 5.5 箸休め〜燃えよ狼〜

ベン・トー 5.5 箸休め~燃えよ狼~ (スーパーダッシュ文庫)

ベン・トー 5.5 箸休め~燃えよ狼~ (スーパーダッシュ文庫)

5巻の発売が記憶に新しい『ベン・トー』の短編集・・・ではない何か。
いや、これはどう考えても短編集だろ?と思われる方も居るかも知れないが、筆者が違うというのだから違う。
定義不明の第5.5巻。


というわけで、短編集と呼称してはいけないのなら何と形容すれば良いのか微妙なところである本作。
内容的には多種多様で雑多なバラエティ豊かな構成になっています。
ごった煮のカオス状態、といっても差し支えない。
以下、簡単に各話紹介。

一章:鳥になった男たち(最長)
丸富大学付属高校の文化祭にお邪魔した洋らHP同好会の面々だったのだが・・・という5巻直後のお話。
警備のおっちゃんが活躍するまさかの展開。
今回の表紙にもなっている表題作的な一本。
あせびの出番多し。


二章:首なしの白き巨人(長め)
いきなり何が始まったのかと思い、状況を理解した後はいつオチがつくのかと思ってしまう異色な一本。
何しろモンスターだの魔法だのとかが出てくるファンタジー風です。
本編とは何の関係もないまったくのお遊びエピソード。
言ってみればセルフパロディみたいなものかも。
あせびも登場。


三章:佐藤洋、16歳の誕生日(短め)
過去に公式HPで公開された書き下ろし作品。
時系列は1巻の数日後。
5.5巻における槍水先輩の数少ない出番のひとつがこれ。


四章:名もなき狼たち(短め)
10頁ほどの短編。
時系列は2巻の数日後。
これもWEB上で公開された書き下ろしの一作。
坊主・顎鬚・茶髪といったレギュラーの脇役さんたちのお話。
彼らのビジュアルも初めてお目にかかることができる(ただし茶髪を除く。残念。)。


五章:白粉花の週末(短め)
こちらもWEB書き下ろしで、時系列も同様。
タイトル通り白粉がメインのお話。
実家に帰ったり何だりしながら執筆活動に精を出す彼女を描く内容になっています。


六章:著我あやめのお見舞い(普通)
イベントで特別配布された一作。
時系列は3巻の翌日。
本編で「あせびがお見舞いに来るからお守り買ってきてよ」と頼まれていた洋が、実際にお守りを買って彼女のお見舞いに行って・・・という内容のお話。
こちらもあせびが登場。
この話は著我好きの人にとってはこの上ないご褒美かも知れない。


七章:白粉花の夏休み(短め)
WEB書き下ろし作品では最新となる一作。
時系列は4巻の数日後。
高校での出来事が、これまで後ろ向きだった彼女に前を向かせるきっかけになっているらしく・・・というお話。
しかし相変わらずの性癖を発揮しており、そこは変化しない。


八章:電話の後で(最短)
わずか7頁のお話。
時系列的には一章→二章→コレの順番になっている。
やはりこれも著我好きにとってのご褒美。

とまあこんな感じ。
その他では各章の合間にぽつぽつと筋肉刑事が2頁ずつだけ挟まっていることがあります。
全体的に番外編というか、本編ではメインになり得ない人が中心になる話が多め。
それとギャグ成分も多め。
本編ではストーリー性及び争奪戦との兼ね合いから熱血やシリアスが必ず絡んできますが、それがありません。
好き放題やっているといった感じのする話まであり、実に面白い。
ただそれだけに、争奪戦を中心とした熱血展開を買って『ベン・トー』を評価している人にとってはあまり興のある内容ではないかも。
普段のあのギャグやセガネタが好きな人にはお奨めです。


尚、各章の記述からもわかるように今回はあせびの出番が総じて多めです。
そして可愛いです。
著我やあせびが好きな人は大喜び間違いなし。
逆に先輩が好きな人は少し残念な感じ。
え、白粉?うん、まあ彼女はいつも通りです。