彼女は戦争妖精 小詩篇2
- 作者: 嬉野秋彦,フルーツパンチ
- 出版社/メーカー: エンターブレイン
- 発売日: 2010/05/29
- メディア: 文庫
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今回はwebで連載されたルテティアの過去編と、さつき&ルテティアの新ペアにスポットを当てた書き下ろしの計2本を収録。
150頁に100頁とどちらも本作の短編としては少し長め。
さて、上述の通り今回は短編集。
集といっても2本だけだが、以下はそれぞれの概略について。
- うるわしき乙女の書
来日前のルテティアの物語。
イギリスからフランスはパリへと不法入国をしてきた彼女。
銭を稼ぐすべもなく宿もない彼女は、売れない画家の厚意で彼のアパルトマンに置いてもらうことになって・・・という導入から始まる。
ここで頼道との出逢いも果たす。
いまでこそベッタリだが、第一印象はあまり良くなかったという事実が判明し、面白い。
ちなみに、ルテティアはいわゆる居候状態なわけだが、働きもせずただ飯を食らい、ベッドも提供されている身分なので殊勝な態度を見せ・・・
などということはなかった。
よく考えればいまだって日本で同じ状態なわけで、いまの態度があれなのだから当時も推して知るべしだった。
一番何もしていないやつが一番偉そうなのである。
実に理不尽である。
まあでも、それなのに何故か憎めないのが彼女の良い所ではある。
尚、ロード・ウォーライク共に新キャラが出てくるが、この話では全員使い捨て。
- 死を告げる女の書
5巻の後の話。
「わたしは変わるんだ変わるんだ」と繰り返し、実のところ何も変わってないさつきを痛々しい目で見守る。
そんな趣旨のお話(´;ω;`)ブワッ
ここでは前回のような多対多ではなく、さつきが単独で(無論ルゥは一緒だが)敵性のペアと接触を果たす機会がある。
が、案の定何もできていない。
酷い、とにかく酷い。
お話にならない。
その辺に頭を痛めるルテティアが新鮮な光景として映り、これが面白い。
宮本家では傍若無人の限りを尽くし伊織に迷惑をかけ続けている彼女だが、立場が変われば彼女とて色々と気を遣うことがあるのだなぁ、とそんな塩梅だ。
がんばれルゥ。
どうにかさつきを一人前にしてあげて下さい。
この際うざいのは治らなくてもいいから。
その他、前回ロードが退場となったオルトニートが意外な形で再登場。
またひとつ新しいキーワードというか配役として「秤の妖精」なんてものが出てきたりする。
短編では本編の謎を解く手がかりが得られることも多いが、逆に謎を増やしていることもある気がする。
尚、こちらも新キャラが出てくるが、使い捨てにはならず本編で再登場がありそうだ。
というわけで、小詩篇第2巻でした。
あとがきでも6巻は夏頃に、とおっしゃっているように嬉野さんは筆が早いので、年内にもう2冊くらいは読めそう。