ベン・トー 7 真・和風ロールキャベツ弁当280円

今日からおよそ2週間、修学旅行ということで槍水先輩が不在となる。
「私の縄張りを、よろしくな」
彼女からそう頼まれた佐藤だったが、彼女の不在を見計らったかのようにある人物が現れて・・・。
過去最大の窮地が佐藤を襲う。
戦友(とも)の呼び声に応え、いま一度呼び醒ませ!
狼の魂を・・・己があの戦場に立つ意味を!
これだけ頑張っても佐藤の二つ名は変態のままなのだろうか・・・という第7巻。
ついに「三沢の乱」の全貌も明らかになるよ!


めでたく?アニメ化も決まったアサウラ氏奇跡の出世作との呼び声も聞かれる局所的ながらも人気高いシリーズの最新刊。
冒頭にも書いた通り、今回は槍水が不在。
「こんな時こそ僕が」と意気込む佐藤ですが、槍水の不在と同時に顔を見せるようになった旧HP部のOGである女性に調子を狂わされ・・・というお話(第一章を除く)。
こと佐藤個人に関して言えば、今回がこれまでで一番の窮地かな。
第一章ではギャグ的な意味で某先生に陵辱されましたが、ニ・三章では精神的に冗談抜きで陵辱される展開が待ち受けています。
それをどのような熱血展開でもって打開するか。
これが今回の醍醐味でしょう。


一方、表紙にもなっているゲストキャラクターは久しぶりに不愉快極まりない人物。
表紙イラストの時点で確信めいたものを感じ、本編初登場時の第一印象でそれは確信に変わり、そして本編中での実態もそれに違わず不快で陰湿なやつだったわけで、これがまた非常に曲者です。
第3巻でのオルトロスのエピソードに出てきたアイツ(名前忘れた)も大概でしたが、アイツは所詮小物・・・言ってみればザコ。
たいした問題ではありませんでした。
が、今回はまがりなりにも二つ名を持ち、ハープライサーが同好会などではなく部として栄華を誇っていた全盛期のメンバーでもあった逸材であり、かなりの強敵。
中盤のイライラと不快感、なかなか事態に気付かない佐藤へのもどかしさはテラマックスに達します。
しかし谷深ければ山高し。
相変わらず後半の熱血ぶりと爽快感は絶好調。
中盤までの展開は、最後に待ち受けるカタルシスのための調味料といったところです。


その他、各人の動向としては、

  • 先輩:不在につき出番はほんのわずか。
  • 妹(茉莉花):姉と同程度。出てないよりは良い。
  • 著我:5・6、そして7巻。最近出番なさすぎなんじゃ・・・?
  • 白粉:第一章で大先生ぶりを全開にし、大活躍。
  • 沢桔:6巻とは打って変わる活躍ぶり。特に姉スキーは大勝利まちがいなし。うん、やっぱ梗は最高の逸材だよ。
  • 二階ドゥ:6巻の感想で「そろそろ出番がないと・・・」と書いたところへきてこの活躍。連ちゃんいいよ連ちゃん。
  • あせび:おまけ程度には・・・。ないよりマシということで。
  • 金城:ついに金城御大が実体を伴って本編に登場。詳しくは見てのお楽しみ。

そしてここに表紙の人ともう一人サブのゲストを加わります。
今回は佐藤が狼になるより前───昨年のことを知る人物が多く、メインゲストがOGということもあり、これまで謎に包まれていた過去の大部分が明かされます。
HPが部から同好会へ格下げとなった顛末も判明します。
まあ、槍水が不在なので彼女の視点からの過去が語られることはありませんが。


それからあと一点忘れてはならないのが、現行メンバー中一番の新参者であった佐藤&白粉に、ついに後輩株となる人物が現れた点。
学年こそ佐藤たちと同じ烏田の一年ですが、諸々の事情があって争奪戦に参戦したのがほんのひと月ほど前というこの子。
下手な名ありキャラを押しのけて今回めざましい活躍を魅せた“茶髪”を筆頭に、名なし勢も今後への期待感を煽ってくれます。


というわけで、今回も大満足のベン・トー7巻でした。
読んでいる最中は、これがアニメになるのか・・・と考えると思わず吹き出しそうになることが度々あり、期待と不安がむくむくと膨らんでいくのを実感しました。
とりあえずは「いまのアニメ界の主流だから」「その方が売れるから」などといって、勘違いしてラブコメ路線にしてしまうような大愚行さえ犯さなければいいかなぁ。