牙の旅商人 1

牙の旅商人 1 (ヤングガンガンコミックス)

牙の旅商人 1 (ヤングガンガンコミックス)

ここのところシリーズを追うだけで新作を発掘していなかった中で発見した久しぶりの当たり作。
数々のハードボイルド作品をてがけてきた七月鏡一を原作に繰り広げられるハードボイルド風ファンタジー旅程記。


いま注目の一作らしい本作。
確かに読み応えがある。
作画も悪くない。
内容としても実にシビアな展開を辞さないものになっており、生ぬるさとは対極的な作りであると言える。


以下、概要。
馬車で砂漠を渡る最中、強盗団一味のハイドラに家族を惨殺された少年ソーナ。
そして、彼自身の命もまた尽きようとしていたその時現れたのが、武器商人ガラミィ。
ガラミィの処置により一命を取り留めるソーナであったが、彼女はその美貌とは裏腹に極めて現実主義で冷酷な人物であった。
ソーナの命を救ったのも決して同情からではなく、恩を売り、彼の身柄を己が自由とするためだったのだ・・・。
しかし何であれ、ソーナは生き延び、ハイドラへの復讐に立ち上がることができた。
こうして、謎めいた武器商人ガラミィと少年ソーナの旅が始まったのだった。


といった具合となるが、冒頭にファンタジーと書いたように世界観は少し特殊なものである。
死者を操り我が物とするネクロマンサーや奇妙な生物の存在など、決して現実にはあり得ないものが登場する。
時代設定の方も近代というよりは中世に近く、鉄や火薬はあれども電気はない世界。
原作者曰く、西部劇映画にイメージの源泉があるという。
事実、確かにそういった側面を併せ持っている観があり、そのジャンルに食指を動かされる人も楽しめそうだ。
早速2巻も買ってこようと思う。