未来日記 12

未来日記 (12) (角川コミックス・エース 129-19)

未来日記 (12) (角川コミックス・エース 129-19)

1周目の世界で愛する雪輝を失った由乃は、ゲームを勝ち抜き神となることで彼を生き返らせようとした。
しかし肉体の蘇生はできても魂の復元はかなわず、失敗に終わる。
そこで彼女は、平行世界へと身を移し、その世界での自分を殺して成り代わることで「雪輝と共にある日々」を繰り返そうと目論んだ。
だが、雪輝も日記所有者である以上は、自分か雪輝のどちらかが死ぬことは避けられない運命にある。
何度繰り返しても結末は変わらない。
「なら・・・また私が神になって次の世界でゆっきーとの日々を満喫すればいい。何度でも・・・何度でも・・・。」
そう、彼女が出した結論は歪んだ愛が生んだ倒錯的なものだったのだ・・・。
えすのサカエ未来日記』最終巻。


11巻でこれまでばら撒いてきた伏線などをまとめて回収し、クライマックスを向かえた本作。
この12巻ではいよいよその物語に幕を降ろすことになったのだが・・・。


まず率直に言って、11巻が盛り上がりのピークだった観が否めない。
やはりこれだけの大風呂敷ともなると華麗に畳むには相当難儀するのだろう。
11巻までの緻密で巧妙な物語の組み方とは異なり、どことなく乱暴な印象がしてしまった。
まだ由乃に時間遡行者であるという可能性が浮上していなかった中盤までの本作を思うと、実に惜しい最後だったと言える。
遡行者などという難しい題材を取り入れず、もっとシンプルにサバイバルゲームとして完結させていればあるいは・・・。
いや、そんな可能性の話を考えても意味がないか。
いずれにしても超大作のラストとしてはカタルシス不足でやや物足りない結末だった。