花咲くいろは 第二十六話「花咲くいつか」


喜翆荘の今後を巡って決定的な対立をしてしまった面々。
けれど喜翆荘を想う気持ちはみな同じ。
この騒動を経て、そのことを強く実感することができた。
だから大丈夫。
きっといつか「また」がある。
その想いを胸に秘め、決意も新たにみなそれぞれの道を進み始めればいい・・・。


ほぼ完璧な出来で文句がない・・・これが新基軸「最終回詐欺」か───という最終話。

終わる終わる詐欺と混同しそうですが、他に適切な表現が思い浮かびませんでした。



そんなこんなで2クールに渡って描かれてきた『花咲くいろは』が終わってしまいました。
冒頭にも書きましたが、最終回だけやたら完成度が高く、ほぼ完璧に等しいものだったと思います。
それこそ最終回だけ見たら勘違いしそうなので、最終回詐欺という言葉を思いついた次第。


いやしかし、それにしても本当に良い最終回でした。
これはずるい、ずるいよ。
何事も「終わり良ければすべて良し」と言えてしまうだけに、本当にずるいと思います。
そして、それだけに最後にこれだけのことができるならこれまでの過程をどうしてもっと綺麗に描けなかったのか、と口惜しさも覚えます。
2クールではなく、無駄を削ぎ落として1クールで締め括っても良かったのかも知れません。

実際、序盤の頃は2クールとは知らずに見ており、その後そうだと知った時にも結構な驚きと違和感を覚えたものでした。



また、加えて言えば、スイと緒花・・・そしてそこに皐月・縁を絡めた祖母と孫の旅館物語に焦点を絞り、そこをもっと描いて欲しかった。
この最終回の素晴らしい内容を思い返すたびに、どうしてもそう思わざるを得ません。

  • 大胆な告白

※ただしやきそばの屋台前で
そこでかよ!
しかし、だからこそ実に緒花らしくて笑えてしまうのでした。

  • まめじい

最後に「スイちゃん」と・・・。
決して公私混同はせずスイのことを女将と呼び続け、スイも女将としてそれに相応しい対応を続けてきたであろうことが窺える。
わずか1シーンながらも実に意味深い場面でした。

  • 緒花

ダメなところもあり、とても良いところもあり。
実に人間味に溢れ、ただ可愛いだけではない魅力的な人物。
色々な作品が色々なキャラクターを生み出していますが、その中でも彼女は屈指の好キャラクターだったのではないかな。
そして、そこには緒花を演じた伊藤かな恵さんの貢献も大きかったと思うのです。
伊藤さん、本当にありがとうございました。

というわけで、2クールもあり、その中に正直に言って無駄なものがチラホラ転がっているばかりに人に薦めるのがはばかられる。
そんな実に勿体ない作品『花咲くいろは』の最終回でした。
ただ、このままでも祖母と孫を主人公にした物語として、めったに見ることが出来ない貴重な特異性に対して一定の評価はしたいとも思います。

重ねて言えば、大人がきちんと大人として子供の見本たる姿を見せていた点も評価したい。
近頃は大人がダメであることで、その代わりを子供が担うというおかしな構図が多すぎる。

つまるところは、そこをもっと尖らせても良かったかな、ということですね。