バガタウェイ 4

バガタウェイ 4 (コミックブレイド)

バガタウェイ 4 (コミックブレイド)

幼少期の家庭環境が原因で争いや相手の怒り・不興を買うことを極端に恐れてしまうソラ。
勝者が居れば必ず敗者の居るスポーツを続ける上で、これは致命的な弱点だった。
だが、それが原因でプレーの精彩さを欠くソラのことを事情は知らずともチームのみなは見放すことなく支え続ける。
この仲間たちとなら彼女は壁を乗り越えられるのかも知れない・・・。


急激に魅力増す物語は一読の価値アリの第4巻。


さて、交流戦の初戦がクライマックスを迎えるこの第4巻。
1〜3巻までが下地作りと導入であったのならば、ここからこそが本当の物語の始まりであると言える。
それほどまでに充実したドラマが堂々展開され、実に読み応えがある。


しかもその青春と人間模様の描写は何も筑学チームだけに留まらない。
いや、むしろ今後の出番が限られる分相手チームの方が何倍も濃密に描かれているほどだ。
そしてこれはあるいは、まだどちらのチームも駆け出したばかりの未完のチームであることに起因しているのかも知れないが、ゲーム展開よりもそのゲームを戦う者たちを描くことにすべてが注ぎ込まれているのが印象的。
試合を作るのは人であるというスポーツの本質を思い起こされ、感動を与えられる良質な物語である。
ひとつの試合だけでこれだけ濃密で丁寧な描写がなされるのであれば、本作のこの先の展開も実に楽しみだ。


そうであるだけに、何かのきっかけで1巻を手に取ることがあった人は、是非この4巻まで読み進めて欲しい。
きっと本作の魅力に強く惹き込まれるに違いない。