マルドゥック・スクランブル 6

マルドゥック・スクランブル(6) (講談社コミックス)

マルドゥック・スクランブル(6) (講談社コミックス)

司法によって正しくシェルに裁きを下すために必要な彼の記憶データ。
そのデータが眠る100万ドルチップを手に入れるべく彼のカジノへ挑んだバロット達は、ついにVIPルームでの遊戯を始めるに至る。
そこで行われるブラックジャックによっていま、彼女のすべてが問われ、試されようとしていた・・・。


原作屈指の白熱ポイントがここに再現される第6巻。


さて、いよいよカジノ編もクライマックスを向かえ、のちに完結となったこの6巻。
物語は、まだこの力を手にして日が浅く、成長途上にあるバロットが真の意味で開花するその瞬間が描かれるというもの。
非戦闘行動・非殺傷能力を駆使した上で、彼女が新たな人生で手にした力を我が物とすることに大きな意味がある展開である。


また、全体の構成として結果は原作小説と同じなれどその過程に独自の魅力を加えることで、誰しもが楽しめる作りとしている。
原作読者にとって「分かっていても興奮できる」展開というのは、実に魅力的。
若干物語の進展が早いきらいもあったが、手に汗握る展開を大いに堪能させてもらうことができた。
そして何より作画がとても良い。
ここに至ってなお進化を遂げ、激闘の果てに高みへと到達するバロットを見事に描いている。
始めの頃にはアクションの描写に若干の難が見受けられたが、いまの大今さんならばこの後に迎える最終局面も見事に描き出してくれるかも知れない。
そんな期待をもって次巻を楽しみに待つことができる。