天乞-あまごい- 4

天乞 4 (電撃コミックス)

天乞 4 (電撃コミックス)

ようやく杏を眼前に捉えるところまでこぎつけた天。
だが、無情にも衛兵による槍の一刺しで命を落とすことになる。
かに思われたのだが、その瞬間彼の身に秘められし神秘がその容貌を明らかにして・・・。


さて、冒頭に書いた通りあと一歩にまで迫った天が、かつての崖からの転落と同様生命の危機に瀕した時・・・という流れで始まる第4巻。
実はこの4巻、そこから始まる一連の話が最後の展開となり、事実上完結を迎える最終巻となっている。
いるのだが、どう好意的に見てもそのラストは打ち切りエンドである。
一応は第一部完といった体裁を取ってはいるが、久しぶりにひどい終わり方を向かえた作品を目の当たりにさせられた。
終わり方がこれでは、人に薦めることなどは到底できるわけがない。


突然放り込まれた異境で四苦八苦する主人公。
散りばめられた謎を明らかにする過程と更なる謎を呼ぶ展開を織り交ぜた構成。
3巻までの中で積み上げられてきたこれらの流れは決して悪くないものであっただけに、あのような最後となったことが残念でならない。


また、この4巻に関しては終わり方もさることながら冒頭からそこに至るまでの展開もまた同様に評価を下げざるを得ないものとなっている。
何しろ当の天や妹の杏、そして友人たちを差し置いて彼らの中に眠る神だか何だか知らないがご大層な存在が、突如前に出張ってきて諍いを始めているのだ。
ハッキリ言って急に湧いて出てきた存在同士の争いなどどちらに軍配が上がろうとまるで興味はないわけで、物語の展開は盛り上がりを向かえていても見ているこちらの興はまったく乗ってこない。
そして終始そんな調子でばたばたしたまま幕を閉じてしまうのであるから虚しいというより他にない。
実にがっかりの最終巻であった。